依存症の仲間と共に

薬物アルコール依存症。境界性人格障害。解離性障害。養子縁組。

入院へのありがとう! その3

いよいよ明日の朝

退院です。


この日は日曜日だったので

治療プラグラムもなく

患者さんの外泊が多く

先生達もお休みで静かな1日でした。


夕食後いつものように

大漢Sを始めアルコールのTと食堂で

雑談。


入院仲間の思い出話をしました。


とにかくハヤシ病院と言っても

おかしくない程

ハヤシ先生の患者さんが多いです。


朝 外来の前に

ナースステーションで

ハヤシ先生はパソコンに

向かい何やら仕事をしています。


廊下側に向かって

座っているのですが


ナースステーションはガラス張りです。


アルコールKが

廊下側からナースステーションを

凝視しています。


「Kさん何してんの?」


「ハヤシ先生見てるの。」


「やめなよ!先生仕事やり辛いわ!」


イヤ‥

そうでもない。

先生は慣れてるのか

Kの存在などまるで無いかのよう

黙々とパソコンを打っていました。

流石天才精神科医。


1週間前にはめちゃくちゃ可愛らしい

Aちゃんが

入院して来ました。

ずっと1人で音楽を聴いていたので

話かけて見ました。


お決まりの

何依存なのか?


深いです‥そして不快です。


Aは10年間

同棲した彼が精神科医です。


Aの実家は遠方で

大学入学でこちらにやって来ました。

ご両親はその彼との結婚を

推していました。


ある時不眠に悩むAに

彼は睡眠薬を処方しました。


結果 耐性がついてしまい

彼はどんどん強い

睡眠薬を処方しました。

最終的に最強の睡眠薬

◯◯を処方しました。


Aは

完全に処方薬依存になり

薬とアルコールを飲まずには

居られなくなっていました。


そんなAに彼は

「お前とは無理。」

別れを告げられました。


そして入院して来たわけですが

彼が恋して恋しくて病院を脱走しました。


脱走者が出た。と聞いて

任意入院なのにどういう事なんだろう?

と思っていたのですが


「Aちゃんだったのね。」


「はい。

でも彼に『何しに来たの?』と

言われていく所がないので

病院に帰って来ました。

看護師さん達が


『心配したんだよ。よく帰ってきたね‥』って

言ってくれて

戻って来て安心しました。

私 医者という職業の彼との

結婚を望んでいただけだと

気づきました。」


Aはアスペルガーだそうです。

色々不便もあるかと思いますが

実家のご両親が帰って来い。と

いう事で1週間で退院して行きました。


後日

残っていた睡眠薬を再び飲んで

しまったようですが

(こんなんじゃダメだ。もうしません。)

という事でした。


可愛らしいA

地元で素敵な恋愛をして

幸せになって下さいね!


最後まで一緒だった

ギャンブル依存J


依存症には特効薬が

ありません。


回復への道は

自助グループへ行くことです。


咳止め薬のM

まだ若く

ご主人と小さなお子さんがいます。


外泊の度

スリップして帰院しては

泣いています。


通常

ドラックストアで咳止めシロップは

1人につき1本しか

売ってもらえません。


「私が買いに行くドラックストア

何本でも売ってくれるんです。」


酷い話です。

何のために使用するか

わかっているはずです。


私は初診でハヤシ先生に

処方薬は

「デパスでいいです。」と言いました。

深い意味はないです。


強い薬は嫌だったし

違法薬物を落としたり

アルコールと一緒に飲んできた薬で

その頃は

どこの病院でも簡単に処方されていました。


「デパスはね

この病院で1番依存性の高い薬なんだよ。

だから処方はしません。」


本当に知りませんでした。


ある日

デパス依存症Hが入院して来ました。


鬱も酷く見ていて可哀想でした。


処方薬が決まらず

頓服で対処されていたようですが

頓服は1日に数回までです。


苦しいのか

コップを持ってしょっちゅう

頓服を求めて

ナースステーションへ行くのですが

「今日はもう出せないよ。」と

言われるだけです、


ある日処方が決まったHは

ガッチャン部屋に隔離に

なりました。


一週間後

出てきたHは別人のように

顔色も良くなり

私より先に退院して行きました。


私は予定外の長い入院に

なってしまいましたが

沢山の患者さんの

話を聞けたことは貴重な事です。


報道規制されるような

内容。


私より生きづらさと

闘ってきた人との出会いは

自分だけが不幸を背負って来たわけでは

ないことを学びました。

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