依存症の仲間と共に

薬物アルコール依存症。境界性人格障害。解離性障害。養子縁組。

共に その1

間も無くケイスケさんと

暫しのお別れです。


その日は街に映画を

観に行くことになりました。


私が好きな

ハリウッド女優さんが主演です。


映画は大変面白く

帰りに2人であーだこーだと

盛り上がりました。


その流れでケイスケさんが

こんな事を言いました。


「僕の昔の彼女

あの女優さんに似てるよ。」


(!!!)


どうして??そんな事今言う事??


こう思った私は

おかしいですか??


何かのスイッチが入り

大都会の知らない街を

私は遁走しました。


走って走って

息が上がり止まりました。


そして目の前の

雑居ビルの窓ガラスの看板が

目に入りました。


(◯◯美容クリニック)


私は既に電話をかけていました。


「すいません。

1番早い日で診察をして貰いたいのですが?」


予約を入れました。


そこへケイスケさんが

私を探していたようで

声を掛けられました。


「どうしたの?

急に走って行ってしまったから

心配したよ。」


「何であんな事言うの!

普通は昔の彼女の話なんかしない!

その人の顔が良かったんでしょ?

だから今美容クリニックに予約したから!」


ケイスケさんはビックリしていました。


「僕はただ昔の彼女に

似てると言っただけで

その人の事が今でも好きなんて思って

言ったわけじゃないよ。」


「そんなの嘘だ!

デリカシーがなさすぎる!

いいよ。手術してああいう顔に

するから!」


私の顔は和顔です。


ケイスケさんは

「日本人が手術をしたところで

欧米人にはなれないよ。

それに僕は美容整形なんて

大嫌いだ。

自然が1番美しい。」


それは美しい顔に生まれた人にしか

該当しない。


美人の母親にブスだ。拾って来た子だ。

と言われて育った私の気持ちが

わかるわけがない。


「酷い!酷い!

お金をかければ今の医療技術なら

欧米人顔になれる!

私はケイスケさん好みの顔になる!」


ケイスケさんは

唯々驚くばかりでした。

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