同棲 その3
やっちゃんは
仕事を探しているようでしたが
私はそれについても
何も言わず聞かずでした。
私のマンションは
やっちゃんと働いていた
お店のすぐ近くです。
やっちゃんの部下に
ハラグチくんというスタッフがいて
2人は信頼できる関係で
ハラグチくんの仕事が終わってから
たまに会っていたようです。
ある晩
いつものように
晩酌をしていたら
「ハラグチには
あなたとの関係を話そうと思う。」
と言われました。
嬉しかった。
一緒に働いていた時は
従業員同士の交際は禁止されて
いる中
ひた隠しにしてきて
別れた時の私の奇行は
スタッフに理解して貰えない。
苦しかった。悔しかった。
今
こうして一緒に暮らせるだけで
幸せなのに
欲張りな私は
やっちゃんの家族に会ったことも
なければ
やっちゃんの友達も知りません。
やっちゃんの大切な人に
私の存在を知って欲しい。
だから
ハラグチくんに話してくれると
言われて嬉しかった。
しかし
その言葉が後に
私にとって
(パンドラの箱)になるとは
夢にも思いませんでした。