依存症の仲間と共に

薬物アルコール依存症。境界性人格障害。解離性障害。養子縁組。

共に‥ その6

その日もケイスケさんは仕事で

帰宅は遅かったと思います。


「お帰りなさい。」

疲れた顔で言われたのは

「話したい事があるんだ。」


私は今迄の経験から

お付き合いしている人からの

(話したい事)

その言葉の先に

恐ろしさしかありません。


「申し訳ないけれど‥

貴女とこの先

男と女の関係を続けていくことは

難しい。」


ケイスケさんが

私に別れを告げるのに

心苦しさを感じたことでしょう。

恐怖心を抱かせたかもしれません。

私の恋人になった事で

どれだけ神経を擦り減らした事でしょう。


私は恋愛について

全く学習出来ていませんでした。


「何でだよ!

私はケイスケさんを好きになって

セックスしたのに!

結局は体かよ!

あんたも所詮

今までの男と同じで私の事を

見捨てるんだ!」


ケイスケさんは

しばらく黙っていました。


「何か言えよ!

私はあんたを許さない!謝れ!」


「貴女の過去がどれだけ酷いもので

辛い思いをしてきたのは

わかった。

でもね

男と女の関係なんて陳腐なものだよ。

それよりも

僕は貴女が人を信用出来ないこと。

家族の素晴らしさを知らないことが

可哀想だよ。」


「男は裏切る。

家族??理不尽な虐待をする母親を

家族だなんて思えるわけがない!

あんたみたいに

幸せで裕福な家庭で育った人間に

私の辛さなんでわかるわけがない。」


「そんなに人が信じられない??

貴女は家族の素晴らしさを知らない。

男と女の関係は無理だけれど

家族としてなら僕は貴女を

絶対に見捨てない。」


「私をなだめるための

口上にしか聞こえない。

何か証明出来るのかよ!」


「何か形が無ければ

信じられないのなら

養子縁組をすることで家族になれる。

そして家族の素晴らしさを

知って欲しい。

僕は家族としてなら

絶対に見捨てないと約束する。」


私は

(養子縁組)と言う言葉に食いついた。


母親の愛情を知らない私‥


結婚して自分で作った家族の崩壊‥


知り合ってまだひと月足らず

2度のセックスしかしていない

赤の他人が


養子縁組をして家族になる?


「やれるもんならやって見ろ!」

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