依存症の仲間と共に

薬物アルコール依存症。境界性人格障害。解離性障害。養子縁組。

遁走 その6

1時間後

指定された場所に赴く。


お客様はまだ来ていない。


(来るわけないか‥)

からかわれただけだ‥


どこに行くわけでもなく

移動しかけた時


あの変わった人が

息を切らせて目の前にやって来た。


「待たせてごめんね。

これを作っていたら遅くなってしまって‥」


私に渡して来たものは

合鍵でした。


「お腹空いてるでしょ?」


温かい料理をご馳走してくれたました。


この街に来てから

節約のためにろくな物を

食べていなかったし

ずっと一人だった。


久しぶりに誰かと共に

食事をして

心まで温まりました。


お腹が満たされて

お礼を言って彼の家に移動する。


寒いと思ったら雹が降っていた。


寒くて手先足先が痛い。


「寒い。寒い。」

と呪文のように呟く私に


「僕の背中に手を入れてごらん。」

と言われ入れてみた。


(暖かい‥)

この人は何者なんだろう??


私は1度しか

会った事のない

男の人の家に行こうとしている。


セックスを強要されるのが

殺されることより怖い。


その訳は

15歳の時の集団レイプにあります。

本当はセックスが怖いのです。


そのくせ風俗で働く私は

変ですよね。


お金への執着もありますが

風俗で働く事は

自傷行為なのです。


楽しく風俗を利用している

男性には申し訳ありません。

スルーしてください。


モテない。女に相手にされない。

貴方の性欲を

お金で処理してやってるんだよ。


これが私の本音です。

あの時の惨たらしい男達への

復讐のつもりです。


(今夜この人にセックスを

強要されるのが怖い。

それなら一層の事

殺してもらった方がいい。)


でも

この人の背中を通して私の手に

感じたこと‥


(この人は悪人じゃない)


この時まさか

この人と一緒に長い時間を過ごし

私の人生が

目まぐるしく変わって行くとは

思いもしませんでした。

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